矯正治療後に歯並びが元に戻ってしまう現象、ご存知ですか?
誰にでも起こるわけではありませんが、実際にこの問題に直面する患者さんは少なくありません。
今回は、矯正治療後によく起こる「後戻り」についてお話ししましょう。
「問題なく維持できている」と感じる人もいますが、「以前のように下の歯が戻ってしまった」と感じる方もいらっしゃいます。
それでは、なぜ矯正後に歯並びが元に戻ってしまうのか、その原因を見ていきましょう。
- 矯正後に歯並びが戻る主な理由
リテーナーの適切な使用が行われていないこと
多くの場合、患者さんが現在の状況をお話しする限り、この要素が最も大きな影響を与えています。
矯正治療が完了すると、リテーナーの着用が必須となる保定期間が始まります。
特に、矯正直後の1年間は、歯がまだ骨に完全に固定されていないため、リテーナーの使用が欠かせません。
舌の位置や舌癖
舌の位置が異常であったり、舌の悪い習慣がある場合、それが歯並びの後戻りの原因になることがあります。
舌を前に出す癖があると、歯が徐々に前に移動してしまう可能性があります。
その他の悪い習慣
頬杖をついたり、指しゃぶりをする習慣も、咬み合わせに影響を与え、歯並びを変える可能性があります。
このようなケースでは、舌の位置を改善するトレーニングなどが検討されることもあります。
親知らずの影響
親知らずが問題を引き起こすこともあります。特に横向きに生えた親知らずは、
他の歯に圧力をかけて歯並びを乱す可能性があります。この影響は特に下顎で顕著です。
噛む力と歯並び
噛む力が強すぎると、歯並びに悪影響を与えることがあります。
歯は本来、前方に傾いていますので、長期間にわたる強い噛む力によって、歯が前に移動してしまうことがあります。
- 後戻りした場合の対処法
後戻りが起こった場合、対処法は大きく2つあります。
① 進行を防止する
進行を防ぐ最も効果的な方法は、リテーナーを適切に使用することです。
もしリテーナーをなくしてしまった場合は、新しいものを作るために型を取る必要があります。
② 再び矯正治療を受ける
再び矯正治療を選択する場合、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2つの主な方法があります。
どちらが最適かは、患者さんの状況によります。
・後戻りの確率
後戻りの確率は個人によって異なりますが、
リテーナーの使用頻度が低ければ低いほど後戻りの可能性が高まります。
・再治療の費用
再治療の費用は医院によって異なります。
一部の医院では再治療の場合にコストが発生しない場合もありますが、
リテーナーを使用しなかった等患者様に過失がある場合は費用が発生することもあります。
治療の完了後もリテーナーなどの使用を継続し、後戻りを防ぐために努めましょう。
・まとめ
後戻りを防ぐためには、指示された治療を守り、リテーナーを適切に使用することが重要です。
後戻りが心配な場合は、迅速に歯科医に相談しましょう。
矯正治療には多くのメリットがありますが、後戻りすることでそれらを失う可能性もあります。
赤池ファミリー歯科
日本口腔インプラント学会 専修医
歯科医師/院長 杉本 賢司